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星組『霧深きエルベのほとり』

「霧深きエルベのほとり」「ESTRELLAS」を観劇しました。

大劇場でお正月公演として始まったこの公演も、東京ではバレンタインを過ぎて、やっとお目見えとなりました。

「霧深きエルベのほとり」は再演ということもあり、ざっくりとあらすじもつかんでいましたが、あまり詳しくネタバレを見ないようにしていたのもあり新鮮に感じることができました。

「霧深きエルベのほとり」

2019.2.15~3.24(東京)

2月23日15:30 貸切公演

2階S席上手

※ネタバレを含んでいますのでご注意ください。

 

カール役・紅ゆずる

きっと泣かされる、そう覚悟していました。

しかしながら意外と涙する場面も少ないな、と思っていたらラストシーンに胸を打たれました。

カールの号泣、それまでヘラっと軽口をたたいていたときとの差にハっとさせられました。カールの泣きながら叫ぶ声が何度も繰り返されるごとに、観ているこちらまで苦しくなってきます。

なるほどヴェロニカ役は専科の英真なおきさんでなければ務まらない訳です。

 

不器用ながら心根の優しい船乗り、カール・シュナイダー。

カールは港についたその日、ビール祭りの夜に出逢った家出娘のマルギット(綺咲愛里)と恋に落ちます。

最初は悪ぶっているカールですが、一夜を共にしマルギットの純粋さ・一途さに惹かれていきます。

マルギットの望むまま婿養子になろうとしたり、おそらく本音は違うのだけど彼女の望む形にしようとするカール。

少しの間でも一緒に暮らし、そしてマルギットの婚約者フロリアン(礼真琴)とも過ごし、一番この場(上流階級の家庭)に相応しくないと感じたのはカールだったはずです。

マルギットの心の変化を一番感じていたのはカールだったはずです。

 

それにしても紅さんの役はふり幅が大きい、前回の凜雪鴉(リンセツア)と同じ人物が演じているとは思えないほどです。「ANOTHER WORLD」の康次郎、ボンボンな若旦那とも180度違います。

カール、康次郎、凜雪鴉、3役ともいわゆる宝塚的なカッコイイ男役像とはタイプは異なります。それなのに、紅ゆずるが演じるとカッコよく見えるのは、それぞれの役の芯を理解し丁寧に演じられているからだと思います。

また紅さんの持ち味を最大限に活かした上田久美子先生の演出も絶妙であったのではないでしょうか。

 



マルギット役:綺咲愛里

あーちゃん(綺咲愛里)の可憐な部分が引き出された純粋な令嬢の役です。

白いドレスで愛くるしく、まさに純粋・無邪気という言葉がぴったりのマルギット。

ですが、あらすじを読んだときからあまり好きにはなれないワガママ娘です。その印象は観劇後も変わりませんでした。

マルギットなりの正義もあるのですが、なにせ怖いもの知らず世間知らずのお嬢様、相手や周囲を考慮する力が弱いです。純粋の裏側には子供のように自分のことが精一杯なところが見受けられます。

 

何も知らない恐れも知らない箱入り娘が、家出してビール祭りの日に安酒場に出入りするなんて、それは悪い男に騙されるテンプレでしょう。

案の定ひっかかってる…のですが、相手はカール。

聖人君子で完璧すぎる男フロリアンに想われ、婚約式までしておきながら、フロリアンとの結婚がイヤで家出するのですから、荒くれていても心根の優しい純粋な男カールに惹かれるのは必然です。

うわべだけを大切にする上流階級社会ではカールのような男性には出逢わなかったはずです。

これまで会ったことのない深い愛情の持ち主に心惹かれて恋が始まり、貫き通そうとするのはマルギットの正義なのかもしれないのですが、カールにはひどく残酷なことです。

それがわかってないマルギットに軽く苛立ちを感じました。若いのだから仕方ないのかもしれないですが、きっとカールとのことがマルギットの今後に深く突き刺さることと思います。

フロリアンに「男を弄ぶ女になってほしくない」と言われショックを受けますが、深層心理ではその通りだと思ったからか反発しています。でも実際「弄ぶ」気持ちはなくても結果としては同じことです。

フロリアンの口から聞くのはキツかったでしょうけど、早く気付かせてくれたフロリアンの出来た人っぷりに感服するしかありません。

 

気になったのはあーちゃんの発声です。

地声は低めの声ですが落ち着きがあって個人的にはかなり好きな部類なのですが、今回は二十歳そこそこの若い設定なせいか裏声で通しています。

なのですが、ところどころ地声が入るせいか、裏声なのが目立ちます。裏声で通すのが難しいのでしょうか。地声が入るせいで裏声のところの「作った感」がより目立って、自然な会話に聞こえないところもありました。

もうちょっと役が落ち着いた女性の役のときは、そんなに気になることはないのですが、今回のマルギットはまずビジュアルが完璧に「純白な無邪気なお嬢様」を作れていただけに返って気になったのかもしれません。

マルギットは少し間違うと、「嫌な女」になってしまう危険性が多い役なのを、毎回初めての衝撃を受けるかのような一生懸命さを感じるお芝居に、マルギットの真摯さが宿っていたと思いました。

 

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